【旧小説1】プロレスの練習試合で女の子にHな技をかけられて負けちゃう話(梨深編:首四の字固め)(3/4)

―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・
―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・

金属のピンに小さな輪っかを通し、これを基盤の決められた複数の場所に入れる。
僕はその作業を繰り返し続けていた、もう何日目だろうか覚えてない。
そしてもう何も考えない、既に僕の身体は製造機械の一部になっていた。

白い部屋、ベルトコンベアーの無機質な音が延々と響く。
部屋には十数名の男性たちが黙々と作業をこなしている。
ここは企業から依頼された精密機械の部品をつくる工場だった。

朝7時半、事務所の人が僕たちを起こしに来て、朝の寒い中、作業を行う準備を始める。
午前の作業は昼の8時から12時まで続き、昼は小さな食堂で皆でそろい、決められた席で同じ食事を黙々と食べる。

午後からの作業は5時までと決められているが、実際にはノルマに届かない事がほとんどなため、夜遅くまで残って作業をすることが慣習になっている。
一日の作業が終わると心身ともに異常に疲労しており、すぐさま泥のようにベッドで眠る。

僕の部屋は3人部屋で、生活に必要なものしか置かれていない。
ネットやパソコンも無ければ、テレビも本当に無かった。
周りには山と畑ばかりしかなく、娯楽施設のような建築物は一切なかった。

朝起きて、一日中作業を行い、疲れて寝る。
僕の生活は、それだけの繰り返しだった。

事務所の人の話によると、僕の働いた賃金は全て女子プロ部に渡っているとのことだった。
契約は全て女子プロ部が管理し、食事などは僕が働かないと食べさせてもらえないことに
なっており、事実上の強制労働だった。

そして驚く事に、僕が働かされているこの時間は、学校側で『職業体験』の授業として、
取り扱われており、この状況を黙認されてしまっていた。

さらに帰りたくてもここは山の中、当然、自由に利用できる交通機関はない。
ここに来るのは主に部品や食糧を運んでくる業者の車ぐらいだった。
僕は山に一人放り残されたのだ。

最初は慣れない事ばかりで大変であったが、単純作業なためすぐに作業は慣れていった。
しかし、毎日続くこの作業に苦痛を感じる事が多くなり、何も考えない様にしようとしても、ある欲望がそれを邪魔していた。

工場には男性ばかりで、女性の人は一人もいない。
そして娯楽の無いせいか、そんな欲望を処理できるような方法も存在せず。
僕の欲望・・・いや僕の性欲は日に日に溜まっていくばかりだった・・・

・・・・・・梨深ちゃん・・・梨深ちゃん・・・梨深ちゃん・・・!
梨深ちゃんの太もも・・・あの柔らかい太ももをもう一度味わってみたい・・・!
いつからだろうか、作業以外の時間は、梨深ちゃんの事ばかりを考えるようになっていた。

そしてある時、僕の目の前で不思議な事が起こった。
夢だろうか、現実だろうか、その判断はつかなかった。

――――ここは、どこなんだろう・・・?
どうして僕は今こんな場所にいるんだ・・・?

ある日、気がつくと僕はイスに座らされており、目の前には制服姿の梨深ちゃんが笑顔で立っていた。
桃色のブロンド髪、大きな瞳、あどけなさの残る整った容姿は、まさに梨深ちゃんだった。

そして、どうやら僕は狭い倉庫のような部屋にいるらしい。
サッカーボール、ハードル、跳び箱、マット、見覚えのあるトレーニングの道具がある。

よく見ると見覚えのある体育倉庫のようだった。
扉と小さな窓から夕陽のオレンジ色が差し込んでおり、暗い倉庫を照らしている。
梨深ちゃんは白いマットの上に立っており、夕陽のオレンジが彼女を妖しく照らしていた。

「おはよう、目は覚めた? ここはね、先輩の学校の体育倉庫だよ。見覚えあるでしょ?」

やっぱり、見覚えがあると思ったらここは僕が通ってる学校だった。
いつの間にか、僕はあの工場から帰ってこれたんだ。

僕の目の前に立っている梨深ちゃんがそれを実感させた。
僕はずっと梨深ちゃんの事ばかり考えていたんだから・・・
だが、そんな感慨に浸る僕を気に留めず、梨深ちゃんは微笑みながら説明を始める。

「じゃあ、先輩の目が覚めたところでルールを説明するね。今回はすごく簡単だよ。先輩のすぐ後ろに開いてる出口があるよね。そこからこの体育倉庫を出れば、家に帰ってもいいよ。そして更正完了ってことで、もう工場で働かなくてもいいの」

え? そんな簡単な事でこの苦しかった生活から解放されるんだ。
僕の背中にはドアが既に開かれてる出口があった。

夕陽が強く差し込んでいて外の景色が見えなかったが、あそこが僕の自由への脱出口なんだろう。

「でもね、もしあたしの太ももに『首四の字固め』を掛けられて気絶したら、更正はまだ不十分として、そのまま工場へ送り返すことになってるの。また1ヶ月間は工場で働いてもらうことになるよ」

工場という単語を聞いて僕の身体は震えた。
ただ作業する機械と化していた灰色の日々を思い出す。
そしてまた梨深ちゃんの艶めかしい太ももの『首四の字固め』の事も。

「たはは♪ あたしが今から先輩に飛びかかって、『首四の字』を掛けると思った? 安心していいよ。あたしはこの白いマットの上からは出られない事になってるから」

僕の真正面から3メートル離れた位置に、何枚かの白い体育マットが正方形に敷かれており、梨深ちゃんはその中央に立っていた。
イスに座っている僕には当然、手が届かない距離だ。

「で~も、あたしはここから動けないけど、先輩は動く事ができるよね。もし先輩があたしの方にやってきて、少しでもこの白いマットを踏んだ時点で、先輩はあたしに『首四の字』を掛けられる事になるの」

梨深ちゃんが笑顔で微笑む、その可愛い笑顔を見ているだけで、また梨深ちゃんの太ももの感触を味わってみたくなる、でもダメだ、これは罠だ。
そんな事をしに行ったらまた梨深ちゃんに工場へ連れて行かれる・・・

「そうなんだよねぇ。ここから出て行って自由になってもいいって言われた人が、いきなり女の子の太ももを触りに来るはずないよね。そんな人は当然、更正出来てるはずがないから、あたしの太ももでぎゅーって締め上げて、もう一度工場で働かせてあげる」

梨深ちゃんの笑顔は可愛い、太ももだってすごく魅力的だ。
でも、もう工場で働くのは嫌なんだ・・・!
僕は家に帰ってアニメを見たりゲームをしたり好きな事をするんだ!

僕の正面には梨深ちゃんがいて、後ろには倉庫の出口がある。
両方とも歩いていけば数歩の距離、前に行っても、後ろに行っても・・・
僕はゆっくりとイスから立ち上がり、数メートル先の出口へ振り返ろうとした。

その時だった。

「でも先輩・・・外の事は忘れて、あたしと一緒にここでプロレスしよっ♪」

男子の心を一瞬で奪う、必殺の笑顔で梨深ちゃんは微笑んだ。
梨深ちゃんの笑顔を見て、僕の思考は止まる。

そして次の瞬間、予想もしなかった事が起こった!

「・・・・・・んっ・・・よっと・・・・・・」

突然、僕の前で梨深ちゃんがおもむろに制服を脱ぎ始めた。
静かな体育倉庫に、しゅるしゅると布が擦れる音が響く。
オレンジの夕陽がその姿を妖しく照らし、その甘い光景は男の本能を引き立たせた。

「・・・・・・ん・・・・・・ふぅ・・・・・・」

梨深ちゃんが上着を脱ぎ、その中に着ていた制服の白いブラウスに手を掛ける。
ブラウスには豊かに膨らんだ乳房がはっきりと盛り上がっており、次々とボタンを外していく梨深ちゃんのバストはもうすぐだった。

「クスクス・・・先輩、あたしの・・・・・・見たいでしょ?」

梨深ちゃんはブラウスのボタンを全て外し終えた後、ブラウスの中が見えない様に前を両手で服を押さえていた。
僕は憑き物に取りつかれたように虚ろな目でゆっくりと頷く・・・

「いいよ。先輩になら見せてあげる・・・・・・じゃ、開くね。先輩、これがあたしだよ・・・・・オープン!!」

―――バッ!!

梨深ちゃんが勢いよくブラウスを開く!
その中から、エナメル質のまぶしい光沢がかかったピンク色のレオタードが飛び出した!

「ん・・・、しょ・・・っと!」

続いてすかさず制服のスカートを降ろす梨深ちゃん。
中から同じく、光沢がかかったピンクレオタードの股間が現れた。

「はい、準備完了♪ 先輩、覚えてる? これ、一月前あたしと先輩が試合をした時に着てたレオタードだよ。あたし何着かこれと同じレオタード持ってるんだけど、今日はわざわざその時のレオタードにしてみたんだよ」

あの時かいたあたしの汗の匂いがまだ残ってるかもねと、たははと笑って付け足す梨深ちゃん。

その時、僕は見えない金槌で頭を殴られた衝撃を受けた。

僕はもうダメだった・・・・・・
梨深ちゃんの柔らかな笑顔、可愛い声、レオタードのエッチな身体を見ると僕の中で一ヶ月間溜められてきた男の欲望が抑えられなくなる・・・!

そして梨深ちゃんが笑顔で僕にトドメを差す。

「先輩、あたしと一緒にプロレスしよ♪ あたしの柔らかいムチムチ太ももで、先輩の顔を思いっきり挟みこんで、天国へ逝かせて、あ・げ・る♪」

ピンクのレオタードから出ている梨深ちゃんの白くて引き締まった太ももは、体育倉庫に差し込んでくる夕陽でオレンジ色に染まっている。
僕はそれを数秒間眺めた後、自我を失った・・・・・・

梨深ちゃんの太もも・・・白くてムチムチで柔らかい太もも・・・!
あそこに梨深ちゃんがいる・・・あそこに行けば顔を太ももで挟んで貰える・・・!
行かなきゃあそこへ・・・梨深ちゃんの太ももへ・・・・・・!

「・・・・・・たはは♪ 鼻伸ばして、息も荒くって、まるで盛りのついた犬みたいだね」

「一ヶ月溜まった自分の性欲に、支配されちゃった先輩の負けだよ。
さあ、おいで先輩。負けた先輩に、あたしの太ももで本当の『奴隷』の世界に連れて行ってあげる」

ここからは記憶が断片化している。

気付いた時には、ぐにっとする感触の分厚いマットを踏んでいた。

「はい、アウト♪ 更正継続だね。あたしの太ももに挟まれに来るエッチな先輩には、オシオキが必要。・・・・・・せーの、えーいっ!!」

気付いた時には、笑顔の梨深ちゃんの目の前で僕の体が回転していた。

「さぁ、先輩お楽しみの、あたしの柔らかいムチムチ太ももだよ。いっぱい顔を挟んでもう忘れられないぐらい、気持ち良くしてあげるからね。太ももで顔をロック、固定完了! 絞めつけ開始っ、ふんっ、んん~っ!」

気付いた時には、顔に柔らかい太ももの締め付けを受けていた。

―――むっぎゅうううっ♪ ぎりっ、ぎり、ぎりっ!!

「たはは♪ 先輩、苦しいですかぁ? それとも気持ちいいですかぁ? 柔らかいあたしのムチムチ太ももで、超顔面圧迫っ! あーんど、『首四の字固め』! ふんっ、ふんっ、ん゛んんん~っ!!」

―――むっぎゅうううっ♪ ぎりっ、ぎり、ぎりりりっ!!

むちっちりとした太ももが顔に押し当てられる! 柔らかい! すごく絞めつけられる! 
顔がムチムチした太ももに挟まれて興奮する。
僕は興奮のあまり意味不明な叫び声を上げた。

だがどれだけ暴れても首から上はまったく動かせず、次第に息苦しくなり、頭がぼんやりとしてくる。

「視界も定まってないし、息も絶え絶えになってきてる。もう先輩は、おねむの時間かな? また明日から工場で大変だと思うけど、頑張ってね、先輩」

―――むっぎゅうううっ♪ ぎりっ、ぎり、ぎりっ!!

「じゃあ、あたしの温っか~いアソコとムチムチ太ももに包まれて、いっぱいお休みなさい。ふん゛っ、ん゛んっ、ん゛んんん~~っ!!」

顔じゅうに梨深ちゃんの太ももから追加の圧迫が加わり、柔らかい太ももなのにきつい重圧で顔が潰されそうになる、
そんな僕の様子を梨深ちゃんは上から笑顔で見下ろしていた。

「あはっ♪ 先輩の真っ青な顔が、あたしの太ももでぺちゃんこになってる。変なの~♪
さ~て、あと10秒で落ちるかなぁ。それまであたしの太ももをたくさん感じてね」

僕は梨深ちゃんの笑顔を見上げながら、意識を失っていく。
こんなに酷い事をされても僕の気持ちは変わる事が無かった。
だって僕は、梨深ちゃんの事が本当に・・・・・・

「うふふっ♪ あたしの太ももでまた落ちちゃったね、先輩。次に目を覚ますまで、あたしの太ももの中でいっぱい眠っていいからね」

僕の後頭部に梨深ちゃんの股間と顔に太ももの温かさを受けながら、僕はまた梨深ちゃんの太ももに顔寄せて眠りについた。

「・・・あはっ♪ 最終段階、完了だね。『奴隷』の世界へようこそ、先輩」


―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・
―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・

僕はネジに金属の輪を通し、基盤の決められた穴に入れていく。
これを永遠に繰り返す、明日も、明後日も、一週間後も、ずっと同じ作業や少し違う単純作業を繰り返すだけだった。

娯楽は無く、ただ作業をするだけの毎日。

作業をするために食事をし、明日の作業をするために眠る日々。

目の前の生活は灰色に染まっていた。

でも時々、不思議な夢を見る。
そこは夕暮れの体育倉庫、オレンジの夕陽が印象的な場所。

「夕暮れの体育倉庫で先輩と二人きり。そこで先輩は白いマットの上で、あたしに『首四の字固め』を掛けられるの。倉庫に差し込んでくる夕陽を浴びながら、先輩はあたしの柔らかい太ももで顔を挟まれて、眠るように落ちちゃうの」

「ねぇ、先輩。あたしの柔らかいムチムチ太ももで、そういう事されてみたいでしょ? 思いっきり顔挟んであげるよ? きっと、すご~く気持ち良いと思うの。ほら見て先輩。あたし、先輩の為に、こんなに太もも鍛えたんだよ」

桃色髪の可憐な梨深ちゃんが僕に微笑んで、すらっとした白い太ももを見せてくる。女の子の筋肉がよく締った、健康的でムチムチな太もも、それを見た僕の意識が断片化する。

そして気がついた時には・・・・・・

「あはっ、捕まえた♪ あたしのムチムチ太ももでいっぱい顔を挟みこんであげる。ほらっ、ふん、ん゛、んんん~っ!! ほらほらっ、ん゛、んんん~っ!!」

―――むっぎゅうううっ♪ ぎりっ、ぎり、ぎりっ!!

気がつくと、梨深ちゃんの太ももの中にいた。その柔らかい太ももで『首四の字』を掛けられながら、次第に意識が無くなる。見上げると梨深ちゃんが満面の微笑みを僕にくれる。

「うふふっ♪ 女の子の筋肉ってすごいでしょ? 先輩みたいな男子もあたしの太ももでイチコロだもんね。ほ~ら、女の子の柔らかい太ももで、落ちちゃえ~っ!!」

―――むっぎゅうううっ♪ ぎりっ、ぎり、ぎりっ!!

あっ、ああ・・・梨深ちゃんの太もも気持ち良い、顔もすごく可愛くて、僕のタイプで・・・
僕は梨深ちゃんの事が・・・あっ・・・・・・

「あ、落ちちゃった。またあたしの太ももにもたれかかって気絶何て、エッチな先輩だね。
あたしの太ももに挟まれて気持ち良かった? またしてあげるからね。おやすみ、先輩♪」

―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・
―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・

もう何回目になるんだろう・・・わからない・・・考えても意味は無い。
いくら考えても、この工場で生活している限りは作業が全てだった。
僕は無心で作業をしていた、その方が楽な気がしたから・・・

僕は今日もネジに金属の輪を通し、基盤の決められた穴に入れていく。
それ以下でもそれ以上でもない、僕はただそれだけの存在だった。

朝は無気力に起き、作業場で延々と作業を行い、一言も話さず昼食を食べ、夕方や夜遅くまで作業を続け、疲れてシャワーを浴び、ベッドで眠るだけだった。

工場では十数名程度の男性作業員が働いている。
時々辞めたり、新しく入ってくる人がいるなか、僕だけがずっと変わらずそこで作業を行っていた。

昼もいつもの指定された席で味気ない昼食をとる。
だけど何故か、時々、昼食を食べるとすごく眠くなる時がある。
これじゃあ午後からの作業をするときに困る事になるんだけど・・・

どうして今日はこんなに眠くなるんだろう・・・それに頭がぼーっとする・・・
こんな調子じゃダメだ・・・作業中に居眠り何かしたら管理の人にすごく怒られる。
でも、すごく・・・眠い・・・・・・

「ねえ先輩? あたしもお昼を食べると午後の授業とか眠くなっちゃうんだけど、どうしてお昼を食べた後は、あんなに眠くなるんだろうねぇ?」

気づくと目の前に梨深ちゃんがいた。
オレンジ色の夕陽が体育倉庫に差し込んでいる。
白いマットの上には制服姿の梨深ちゃんが微笑んでいた。

「起きたみたいだね。じゃ、先輩。あたしと一緒にプロレスしよっか?」

梨深ちゃんが妖艶な笑みを浮かべ、見せつけるように制服を脱ぎ始める。
制服の中からピンク色のレオタードが現れ、その白くて引き締まった美少女の太ももを見たとき、僕の記憶は途切れ始める。

「どう、先輩? あたしの太もも気持ち良い? 良かったらもっと強く挟んであげるよ。ほ~ら、ふんっ、ん゛んん~っ! がっちり太ももで顔挟まれて少しも動かせないでしょ? 先輩はあたしに『首四の字固め』を掛けられるのが大好きなんだよね、たはは♪」

僕の頭が梨深ちゃんの股間に置かれ、顔が太ももにきつく挟みこまれていた。
柔らかくて、温かくて、スベスベしてて、ムチムチしてて、すごく気持ちイイっ!
でも苦しくなって、段々と意識が無くなってくる・・・!

「いいよ先輩。あたしの太ももでいつでも眠っていいからね」

梨深ちゃんに天使のような笑顔で見下ろされた。
ああ、梨深ちゃんが可愛い、梨深ちゃんが愛おしすぎる・・・!
僕は・・・、僕は梨深ちゃんのことが、本当に・・・・・・

「ん・・・? 先輩、口をパクパクさせてるけど、あたしに何か言いたい事があるのかな?」

僕は声にならない声を振り絞って、梨深ちゃんに想いを伝える。
本当にかすれるような小さな声だった、聞こえてないかもしれない・・・

・・・でも、僕の気持ちが伝わったのか、梨深ちゃんは満面のカワイイ笑顔を僕に向けてくれた。

「うふふっ、うふふふっ♪ 先輩、あたし、・・・・・・・・・・・・」

―――むっぎゅうううっ♪ ぎりっ、ぎり、ぎりっ!!

梨深ちゃんが僕を『首四の字』で絞めつけながら、僕に何かを言った。
でもそれは何か聞こえなかった。
数秒後、僕は梨深ちゃんの太ももに顔をもたれさせて意識を失った。


寒い、山の寒さだ、目が覚めると深夜で、そこは工場の宿舎のベッドだった。
もう見なれた小さな部屋、男性3人お互いに窮屈な思いをしながら暮らしている。
テレビさえ置かれていない、生活に必要最低限しか揃っていない、寝るだけの部屋。

暗い部屋でルームメイト二人の寝息が聞こえる。
ここで働いていれば夜は一分でも多く寝ておきたくなる。

ん、あれ・・・冷たい? 僕の股間に妙な湿り気を感じた。
まるで股間へ盛大に液体をこぼしたような濡れ様だった。
そう、ちょうど子供の頃、おねしょをしたような感じ・・・・・・

暗くて、寒くて、水がすごく冷たい・・・
宿舎の狭い洗面所、身を切るような冷たい水で僕の下着を洗う。

・・・う・・・うっ・・・うううう・・・・・・っ・・・
いつの間にか僕は泣いていた、自分の境遇の辛さ、情けなさに、声を殺して泣いていた・・・
辛いことも考えなければ済むと思っていたのに、それが今になって溢れだしてしまった。

小水で下着を汚し、洗う水の冷たさが一層僕を惨めにしていた。
もう嫌だ、こんな生活は嫌だ、働きたくない、僕は好きに遊びたいんだ!

・・・ここから抜け出して、自由になる。
ベッドの中で僕はそう決心した。
水で湿った冷たい下着の感触を我慢しながら、僕はもう一度眠りについた。

次の日、僕はまだ誰も起きてない早朝に目を覚ます。
昨日決心した工場からの脱出のためだ。

工場は山の中にあり、街に出るためには車道を下っていく必要がある。
道順や距離はわからなかった、なぜなら僕は梨深ちゃんの『首四の字』で気絶させられて、ここに運び込まれたから・・・それでもここから抜け出すんだ。

コンクリートの急な車道を下って10分、僕は身体のある異変に気付いた。

はぁはぁはぁ・・・、足が痛い、すごく疲れる・・・
男子プロレス部で体を鍛えていた頃はこんなの全然大した事ないのに、今は少し山道を歩いただけで息も上がる、どうしてだろう・・・?

あっ!? 僕の脚、すごく細くなってる、しかも腕だって細い!
部活で鍛えていた体はすっかり細くなっていて、今では見る影もなかった。
今までロクに運動もせず座ったたままの作業だから、体が弱くなってしまったんだ・・・!

そしてさらに絶望する事に僕が苦労して歩いた10分の距離は、工場の宿舎がまだ普通に見える距離だった。
ここから街まで降りること何て考えられない。

水もない、食料もない、このまま山を下りても途中で力尽きるだろう。
それに朝を食べていないせいか、お腹も空いてきた。
それを満たしてくれるのはあの工場で働き、ご飯をもらう事だけだった。

それから僕は失意のまま元来た道を引き返し、宿舎に戻った。
そこで菓子パン一つだけの質素な朝食が支給され、工場に送りだされる。
また僕の灰色の生活が始まるのだった。

―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・
―――カチカチ、カチカチ、カチカチ・・・・・・

今日もネジに金属の輪を通し、基盤の指示された穴に入れていく。
これを永遠に繰り返す、明日も、明後日も、ずっと続けなければならない。

・・・でも僕はもう嫌だった。
何も考えずただ作業だけをこなす自分には戻れなかった。
何も考えない事で自分を抑えていたけれど、やはり自分に嘘をつく事ができなかった。

作業をするだけの一日が苦痛で耐えられなかった。
僕は誰にも労働を強制されず、自由な生活を送りたい。
家に帰ってアニメを見たり、ゲームをしたり好きな事をしたい。

そのために脱走することも考えた、でもダメだった。
ここの生活から抜け出す方法は、最初からただ一つだけだ。

時々、梨深ちゃんが現れる、あの夕暮れの体育倉庫から抜け出す事、梨深ちゃんの太ももの誘惑に負けず、外だけを目指す。

そう、最初からわかっていたんだ・・・!
ここは梨深ちゃんの太ももで挟まれる事を代償に、長期に渡って強制労働させられる施設。
梨深ちゃんとの数分の出来事で、とんでもない時間の自由を奪われる。

とても割には合わないだろう、僕は最初から梨深ちゃんに嵌められていたんだ。
悔しかった、そんなものに嵌められる自分が情けなかった。
でも、次こそは脱出してみせる、あの夕陽の光が差し込むオレンジの体育倉庫の扉から。

あの夕暮れの体育倉庫に行ける日は分からないけど、いつかはきっと来る。
今までだってそれが繰り返されてきたから。

僕はその事だけを心の支えにして、必死に作業漬けの日々を耐えた。
でも次が限界、それ以上はこの生活に僕の心が耐えられないだろう。
だから、そう、次が梨深ちゃんの誘惑と戦う最終決戦だった。


続く